獣医師によるコラム
猫ちゃんの腎臓病
寒くなってくると、老齢の猫ちゃんが調子を崩して来院されることが多くなります。

「おしっこの量がやけに多くなりました」
「なんだか最近体重が落ちてきたみたいです」
という症状がある猫ちゃんによくみられる病気のひとつに慢性腎臓病があげられます。
① 血液からおしっこをつくる
動物は、血液に酸素や栄養分などを溶かして体中に運んで利用しています。
その際に体中の老廃物も回収して、腎臓で余分な水分とともにおしっことして体の外へ流します。健康な猫ちゃんは1日に約22-30mlのおしっこをします。
② 血圧を調節する
腎臓は、水分と塩分の排出量をコントロールして血圧を調節しています。
また、血圧を調節するホルモンを分泌する役目も担っています。
③ 血液を作る
腎臓でつくられるホルモンにより、血液中の赤血球が作られます。
④ ミネラルバランスを調節する
体に必要なカルシウム・リン・カリウム・ナトリウムといったミネラル成分の量を調節しています。
そもそも腎臓はどんな仕事をしているかご存知ですか?
① 血液からおしっこをつくる
動物は、血液に酸素や栄養分などを溶かして体中に運んで利用しています。
その際に体中の老廃物も回収して、腎臓で余分な水分とともにおしっことして体の外へ流します。健康な猫ちゃんは1日に約22-30mlのおしっこをします。
② 血圧を調節する
腎臓は、水分と塩分の排出量をコントロールして血圧を調節しています。
また、血圧を調節するホルモンを分泌する役目も担っています。
③ 血液を作る
腎臓でつくられるホルモンにより、血液中の赤血球が作られます。
④ ミネラルバランスを調節する
体に必要なカルシウム・リン・カリウム・ナトリウムといったミネラル成分の量を調節しています。
もし慢性腎臓病になったらどうなってしまうのでしょうか?
慢性腎臓病とは “腎臓に何らかの慢性的な病気をかかえた状態“ の事を言います。
15歳以上の猫ちゃんの3匹に1匹は慢性腎臓病にかかっていると言われています。
健康なネコちゃんは老廃物をそのままおしっこへ出せますが…

腎臓病になると、老廃物を少しずつしか出せなくなります

老廃物を出すために必要なおしっこの量が増え、身体の水分が必要以上に出て行くので猫ちゃんはお水をたくさん飲むようになります。(=多飲多尿)
それでも身体に十分な水分が足りない状態が続く(=脱水)と、初期は毛がパサついたり元気がなくなったりします。
さらに病気が進んでしまうと、おしっこの量を増やしても老廃物を出せず、血液に残ったまま身体中を回るようになります。血液中に老廃物が増えすぎると気持ち悪くなって食欲が落ちたり吐き気がでたりといった症状がでてきます。
末期になると体重が落ちて歩けなくなったり、意識がなくなったり、けいれんが起こったりして死に至る危険があります。
他にも
・高血圧になりやすく、高血圧がさらに腎臓に負担をかけることがあります。
・血液をつくるホルモンが出なくなり貧血になります。
・ミネラルバランスがくずれて身体のむくみがでたり、元気がなくなったり、骨が弱くなったりすることがあります。
怖いことに、これらの症状がでるのは、腎臓の機能の60%以上が失われてからです。
さらに、慢性腎臓病で壊れてしまった腎臓は、元に戻らないのです。
↓
それでも身体に十分な水分が足りない状態が続く(=脱水)と、初期は毛がパサついたり元気がなくなったりします。
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さらに病気が進んでしまうと、おしっこの量を増やしても老廃物を出せず、血液に残ったまま身体中を回るようになります。血液中に老廃物が増えすぎると気持ち悪くなって食欲が落ちたり吐き気がでたりといった症状がでてきます。
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末期になると体重が落ちて歩けなくなったり、意識がなくなったり、けいれんが起こったりして死に至る危険があります。
他にも
・高血圧になりやすく、高血圧がさらに腎臓に負担をかけることがあります。
・血液をつくるホルモンが出なくなり貧血になります。
・ミネラルバランスがくずれて身体のむくみがでたり、元気がなくなったり、骨が弱くなったりすることがあります。
怖いことに、これらの症状がでるのは、腎臓の機能の60%以上が失われてからです。
さらに、慢性腎臓病で壊れてしまった腎臓は、元に戻らないのです。
治療法は?
人では腎臓移植や透析(腎臓の代わりに人工的な装置で老廃物や余分な物質を取り除く治療)が有名です。動物でも猫では腎臓移植が行われ始めていますが、まだ一般的な治療法ではありません。壊れていない残りの腎臓を大切に使っていけるようにサポートしてあげることが治療の目的になります。
1)食事の改善
・タンパク質の制限…腎臓病で老廃物がたまりやすくなっていますので、老廃物の大きな元であるタンパク質を制限したフードに変更する必要があります。
・塩分の制限…塩分をを取りすぎると高血圧になってしまうため制限します。
・ミネラルの制限…腎臓からの排出ができなくなるためカリウムやリンを制限します。
・猫ちゃんには、これらを考慮した腎臓用の療法食があります。
慢性腎臓病の子で食事変更しない子の生存日数中央値は264日ですが、腎臓用療法食を食べた子は633日という報告があります。
※生存日数中央値…例えば100頭の腎臓病の猫のうち、50頭が腎臓病が原因で亡くなるまでの日数。
・カツオ節・煮干・チーズなど塩分やリンが多く含まれている食べ物は腎臓に良くありません。
2)薬
・老廃物をためこまない薬…経口吸着炭素製剤
・血圧調節をする薬…降圧剤
・血液をつくる薬…エリスロポエチン製剤
・ミネラルバランスを調節する薬…カリウム吸着剤、リン吸着剤など
・吐き気をおさえる薬…制酸剤など
これらの薬を症状に合わせて使用することで、病気の進行を遅らせ、快適な生活を送ることができるようになります。
3)補液療法
・必要以上に出ていってしまう水分を補うため、点滴や皮下補液
(猫ちゃんの背中の皮膚と筋肉の間に点滴液を入れる治療法)を行います。
早期発見のために
・慢性腎臓病は、病気が進行しないと症状が出て来ません。
そのため症状が出る前に、早期発見して治療を始めることが必要になります。
症状が出ていない状態でも、尿検査でおしっこに関係する臓器に問題があるかを調べることができます。腎臓病の猫ちゃんは、おしっこの量に対する老廃物の割合が減ってきます。これを数値化したものが“尿比重”です。正常な猫ちゃんは尿比重が1.035より高い数値ですので、低くなると腎臓病の可能性があります。また、尿にタンパク質が出てくる場合も要注意です。
・尿検査で異常がある場合、血液検査を行い体に老廃物が溜まっていないか、ミネラルバランスに問題はないか、貧血していないか、などから腎臓病の進行度をチェックします。
・さらにより詳細な検査として超音波検査・血圧測定などを行い治療方針を決定します。

猫ちゃんがよく水を飲んだりおしっこの量が増えたりしたら、元気食欲があっても一度病院で隠れた病気がないかチェックしてもらうようにしましょう。
健康診断として尿検査を行うことも大切ですので、ワクチンで来院される際は、ぜひ一緒におしっこを持ってきて下さいね。

キーワード
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