渡辺動物病院

整形外科

 整形外科疾患とは骨折・脱臼・靭帯断裂・腱損傷により正常な歩行機能ができなくなる疾患です。足をかばって歩く、足を挙げる、動きたがらないなど症状は様々です。触診、レントゲン検査、超音波検査などで診断を行いますが、関節液検査やCT検査などの特殊検査が必要になる場合もあります。

 当院では各種骨折・脱臼治療をしておりますが、特に近年増加傾向の小型犬種の橈骨尺骨(前腕)骨折、膝蓋骨内方脱臼、前十字靭帯断裂の診断治療に取り組んでおります。

またセカンドオピニオンも随時行っておりますので、お気軽にご相談下さい。


このような症状があったら整形外科へ
脚がつけない・あげている
脚・関節を触ると痛がる
階段の上り下りやジャンプができなくなった
散歩に行きたがらない
脚が曲がっている(変形)
痛み止めを飲んでもよくならない

骨折

 当院での骨折治療には金属製インプラント(プレート・スクリュー・ワイヤーなど)を用いた内固定術を行っています。骨折部位や年齢によっては外固定(ギプス、副木)を選択することもありますが、合併症などの問題から金属製インプラントを用いた手術を第1選択にすることが多いです。

症例1 イタリアングレーハウンド 2歳 橈骨尺骨骨折

症例2 猫 6歳 骨盤骨折(交通事故)

膝蓋骨脱臼

 膝蓋骨(膝のお皿)が内外に脱臼することで痛みや足の変形を引き起こす病気です。小型犬では膝蓋骨の内方脱臼が多く認められます。脱臼の程度によりGrade1~4に分けられます。

Grade 1
手で押すと脱臼するが、手を離すと元に戻る。
Grade 2
手で押すと脱臼し、手を離しても戻らないが、膝を屈伸すると元に戻る。
Grade 3
常に脱臼している状態。手で戻すことができるが、離すとすぐに脱臼する。
Grade 4
常に脱臼している状態で、手でも戻すことができない。

 治療は症状の有無(スキップ歩行、間欠的跛行(たまに足を挙げる)、完全挙上)によって変わりますが、当院ではGrade2以上で外科手術を実施することが多いです。手術は脱臼の状況によって複数の術式を組み合わせて行います。


症例1 チワワ 膝蓋骨内方脱臼 (Grade 3)

症例2 ポメラニアン 膝蓋骨内方脱臼 (Grade 4)

膝蓋骨の内側への脱臼


前十字靭帯断裂

 前十字靭帯は膝関節内にある靭帯で、膝の安定化や屈伸に関係する重要な靭帯です。前十字靭帯損傷は様々な犬種で発生し、多くは中高齢で認められます。前十字靭帯断裂により膝が不安定になると、半月板(膝のクッション)に損傷を起こし強い痛みが認められることがあります。

 大型犬・超大型犬、内科療法(鎮痛剤・関節サプリメント)で改善を認めない場合には、手術が必要になります。小型犬では内科療法でも改善を認めることもありますが、膝蓋骨脱臼や半月板損傷を併発している際には手術が必要になることが多いです。

症例1 チワワ 前十字靭帯断裂 関節外制動術
脛骨(すねの骨)の前方変位